天気の子

 新海誠監督の話題作、公開されてかなりの時間が経過していますが、まだまだ一日四回上映の人気作品でした。

 

 一言でいうと……「君の名は。」の方がよかったと感じました。男子高校生が女子高校生(今回は中学生)を、追い求めるという設定に目新しさがなかったことが評価の最大のポイントです。

 

 今回も日本の伝承をモチーフにしている点では、日本ラブの私はプラス評価をあげたいと思います。「人柱」は、私の田舎にもその伝説が残っています。私のふるさとの愛媛県大洲市には「肱川」という川があります。川の氾濫を止めるため、おひじさんという女性が人柱になったことから、肱川と呼ばれるようになったそうです。

 

 この映画では、雨を沈め晴れをもたらすために、自分の身をささげるひなが人柱となって空に挙げられるというストーリーになっています。晴れの光のなかで多くの人が楽しく幸せな時間を過ごす様子を見て彼女は、自分の喜びを感じます。そして、その使命を果たすためには自分の死を厭わないのです。(これはキリスト教の犠牲の精神を彷彿とさせる設定になっています…)

 

 やがて、ひなは、天に召されるのですが、この天が、海という設定。母なる海を題材にしたポニュを連想させます…。

 

 天気や気象を今の時代中心に判断し身勝手に生きていく私たちに警鐘をならしているのかもしれませんが、表現不足。多くの材料を放り込みすぎた感が否めません。

 

 もちろん、「君の名は。」は、リピーターが多く、何度も見るうちに理解が深まったという声が多かったので、「天気の子」も、次見れば理解が深まり、新海誠監督が伝えたかったものをもっと理解できるのかもしれません。

 

 しかし、一回見た私には、消化不良感が残る作品でした。

 

 ただ、雨の映像は非常に美しく、NHKの朝ドラ「なつぞら」で描かれているアニメーターの苦労と努力を想像しながら見ると格別な思いになります。